何があるかわからないから人生
その日店に指導員の人が来るという事で、その人に男の、つまり私のパーマが大丈夫かどうかを聞き、十中八九ダメだろうと言われるという
正直なんでこんなにイライラするようなことをさせられなければいけないんだろうという出来事が今日は起こるはずだった。
一応態度だけは申し訳ないというポーズをとるために、頭をワックスでがちがちに固め、おぼっちゃま君みたいな頭にして、更にスプレーで固めて店に向かった。
店で働き始めて1時間くらいが過ぎたころ
気づけばおれは新しく入ったバイト君の指導をしていた。
??????
どうしてそうなった

そもそも指導員の人、この人を会社ではトレーナーと呼ぶのだが、トレーナーはめったに店に来ない。
何かしらの目的を持ってくることが多いので、トレーナーが来る日というのは、何かしらのイベントが起こる日でもあるという事に私は気づいていなかった。
店に入ると既にトレーナーは待機していて、見覚えのない男性が一人いた。
そう、新しくバイトが入っていたのだ、その指導の為にトレーナーさんは店に来ていたという事だったらしい。
だとすれば私が何かを聞きにいく余裕などないだろうなと、きっと店長か店責が代わりに聞いてくれるに違いないと仕事に向かうことにした。
そして問題の一時間後、
「今日はトレーナーさんが早番なのでもうそろそろ帰ります、あとは家風さんがレジ周りの事教えてください」
店舗責任者にそういわれた。え、指導する人もう帰るの?てか早番ってあるの???
意味が分からなかった、頭の中は仕事の事とパーマはどうなんだという事くらいなもので、そこから衝撃の一言をぶち込まれたのだからしょうがない。
働いて一年半くらいにしかなっていない自分がなんで指導をするのだろうかと。
そしてトレーナーさんはすぐに帰ってしまった。まあしょうがないか、早番なら、あれ、パーマの件どうなったんだ……
だけどまあ、任せられたならしょうがないからやるかと挑んだ。
新しく入ったバイト君は珍しい事に男性で、この職場大体女性ばかりが来るので同姓が来たというそれだけでも少しうれしくもあった。
それにいろいろと教えていると素直で、礼もしっかり言えるし、教えるとすぐに吸収できる感じもよく、最初は不本意だった私もだんだん楽しくなってきた。
年齢は一回りくらい違うが、どうやら自分の事を近い年の人間だと思っているかのようで、自分が砕けた喋り方をすると緊張もほぐれてきていた。
人に教える立場ってのも悪くないもんだなあなんて、まあもとから人に何かを教えるというのは好きだし、才能があると言われたこともある分野だったので少し快感でもあった。
きづけば楽しんでいたし、今年一番楽しかった仕事だったかもしれない。
あれ、だからパーマは?俺何も言われてないが???
パーマに関しては結局何も言われることもなかったし、どうやら店舗責任者も聞いていないようだった。
だからこれはもう勝手に解釈するしかないなと。
仕事中は頭を固めればパーマでもオッケーなんだなという独自解釈をすることにした。
もちろん今後パーマをかけることは無いかと思われる、だけどよくよく考えた、仕事中にワックスなんかで頭を固めるほうが、パーマを落とす作業をするより安く済むし、なんだかんだ違った髪型を楽しむという感覚ができるのではないだろうかと。
もう楽しむことにしたのだ、注意されれば当然落とすだろう、だけど今日(既に日が変わっているが)トレーナ―に何も言われなかったという事は、恐らく規約に書いていなかったという店側の落ち度も理解していて、これはもう暗黙の了解で頭を固めれば許すというポーズなのではないのだろうかと思うことにしたのだ。
実際こっちの落ち度は一切なくて、店側の落ち度100%なのだから、そこが落としどころだと思ったのでは無いのだろうかと。
勝手にこっちの都合のいい解釈をさせてもらうことにした。
そもそも何が戦争だ、戦ったってどうせ勝てないし、国に挑む奴隷のような存在だパートなんて。
もう少し現実を見るべきだったと少し冷静になった。
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